皆さんこんにちは〜〜!!
TEAM909です。
映像作品のダイジェスト記事ですよ〜!
担当は私、あきがお送りします🐧
それでは早速内容に入っていきましょう。
ご紹介する作品はこちら⏬
TEAM909 2本目の映像作品。
そして、909のもう1人の脚本家、優月いちかさんの初脚本作品!
『ONE CARD』です〜⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
出演者は、杉田かえでさん/わかなさん/mayu*ちゃん/斎田東亜さん/原山啓吾くん/私 あき🐧の6人!
脚本は先程も言った通り、優月いちかさん。
演出と編集はボブさんでした。
40分程度の中編作品です。
こちらもハウススタジオを借りて撮影。
1日がかりのロケでした。
いつもの909とは一味違った魅力が溢れるこちらの作品。
人物紹介から行ってみましょう。
【人物紹介】
茅野カズハ-かやの かずは―
(演:杉田かえで)
23歳。新人占い師。
斎藤美波―さいとう みなみ―
(演:わかな)
27歳。会社員。カズハ先生の顧客。
狭間莉音―はざま りおん―
(演:あき)
18歳。占い会社の社長令嬢。
鈴本伊織―すずもと いおり―
(演:mayu*)
27歳。美波の友達。
菅原暖―すがわら はる―
(演:原山啓吾)
20歳。大学生。莉音の彼氏。
五十嵐風櫂―いがらし ふうかい―
(演:斎田東亜)
40歳。占い店マネージャー。カズハの指導役。
登場人物を踏まえた上で、ベストショットを交えながらストーリー紹介に入っていきましょう✩°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
【ストーリー】
ここは、占いの館『クラウン』。
今日も、人生や恋愛に迷ったお客様が2人、担当占い師の到着を待っていました。
「本当に、宜しいですか?」
堅く仰々しいスーツを纏った初老の男性 ― 五十嵐風櫂(いがらしふうかい)が、女性客2人に訪ねます。
尋ねられた女性 ― 斎藤美波(さいとうみなみ)は、緊張をそのままに、ぎこちなく頷きました。
漂う緊張感を遮るように明るい声で笑ったのは、美波の友人の鈴本伊織(すずもといおり)。
「だから大丈夫ですって。プロなんでしょ?自信ないの?」
いたずらっぽく軽口を叩く伊織に、五十嵐は愛想良く笑い、少し言いにくそうに口を開きました。
なんでも、美波が指名した先生は、毒舌で、言葉がきつい所があるらしいのです。
忠告とも取れる気遣いに丁寧にお礼を告げた美波に、五十嵐は頷き、静かに部屋を後にしました。
入れ替わるようにしてバックヤードの扉が開き、件の占い師 ― 茅野カズハ(かやのかずは)がノートパソコンを手に入ってきました。
待たせた詫びを入れながら2人の正面に座るカズハ。
彼はそのままノートパソコンを開き、名前を確認した後、テーブルの端に置かれたタロットカードを手に取りました。
「では早速、お悩みを伺います」
「あ、えっと、その......」
質問にしどろもどろになりながら、美波は視線を彷徨わせたあと決心したようにいいました。
「私が、いつ結婚出来るか......分かりますか?」
「ご結婚を考えられている方が?」
「......いや」
言いにくそうに目を伏せる美波。
横で一部始終を見守っていた伊織が、彼女がここに来るまでの顛末を楽しげに語りだしました。
伊織曰く、美波は真面目すぎて、色んな出会いの場(合コンや街コン、婚活パーティーなど)に参加しても、全然進展がない、との事。
美波の現状を聞いたカズハは、早速カードを使って占いを開始します。
その間美波は、気まずげに俯いたままです。
ほんの少しの間を置き、占いが終了しました。
美波に伺うように、そして伊織に促させるように見つめられたカズハは、先方からずっと崩れない無表情のまま、淡々と言いました。
「ハッキリ申し上げます。このままでは貴方は結婚出来ません。」
「その辺は、自分でも何となく......」
なんとも言えない沈黙の後、美波は苦笑いを浮かべながら言いました。
しかしカズハは、そんな美波を労ることなく、追い打ちをかけるように失礼な物言いを重ねます。
夢見心地で理想が高く頭の中がお花畑。
年齢の割に自分のことが全くわかってない。
無駄に歳だけ食ってしまった『痛い人』である。
そもそも相手もいないのに『いつ結婚出来るか』という質問を聞いてくることが理解不能。
あなたは誰と結婚しようとしているのか?
怒涛の指摘は留まることを知りません。
あまりの失言に伊織が静止の声を上げようとした、その時。
ずっと俯いて話を聞いていた美波が強くテーブルを叩きました。
いつもの美波らしくない行動に驚く伊織。
しかし当のカズハは、何も悪いことだと思っていないように、何か間違ったことを言ったかと答えます。
「すみません......でも、もっと別の言い方、あるんじゃないですか?」
冷静さを取り戻した美波が、語気に僅かな怒りを滲ませながら言いました。
「それは失礼致しました。別の言い方が出来ないくらい酷い結果でしたもので」
相変わらず何も悪いと思っていないように答えたカズハに、美波はバッグを掴み、そのまま 占いの館『クラウン』を出ていこうとします。
慌ててその後を追う伊織。
「斎藤様」
名前を呼ばれて立ち止まった背中に、カズハは静かにこう投げかけました。
「あなたに必要なのは、ご自身の問題点と向き合う姿勢です。自分の未来は自分で作るものだと私は思いますよ。」
―――あなたの人生に、占いなど必要なくなることを願います。
美波は、カズハを一瞥すると伊織と共に店を出ていきました。
🌼.*
2人が出ていった後、しばらくして五十嵐がバックヤードから出てきます。
五十嵐は怒っているような、困っているような複雑な表情でカズハを叱責しました。
「カズハ先生、僕は占い師にとって1番大事なものはなんだと言いました?」
そんな五十嵐に、カズハは相変わらず反省の色を見せずにしれっと答えます。
「伝え方だと言うことは理解しています。が......あのような顧客にはハッキリと問題点を申し上げるべきだと思いますね。」
最早開き直って居るような態度に、五十嵐は噛み砕くように注意を説きます。
カズハは占いの館『クラウン』の問題児でした。
鑑定技術はあるのですが、忖度の出来ない接客態度にクレームが殺到し、占い業界でぶっちぎりのワースト成績を所持しています。
彼の指導係である五十嵐は、そんな現状に頭を痛めていました。
一向に接客態度を改めないカズハに、いつも以上に念入りに注意をしていると、着信音が響き渡りました。
電話に出る五十嵐。
電話の相手は、『クラウン』に所属している女性占い師からでした。
しかし何故か、電話の向こうの女性占い師は激しく動揺しています。
五十嵐が焦りながら宥めているうちに、電話はプツリと切れてしまいました。
「どうかしましたか?」
ただならぬ様子に思わずカズハは尋ねます。
普段の落ち着いた姿からは想像もつかないほどに動揺した五十嵐は、出入口の鍵を念入りに締めながら早口で言いました。
トラブルが発生したから、本日はこれより臨時休業になる、と。
訳が分からず首を傾げるカズハに説明は成されることなく、五十嵐は重要な電話の為だとバックヤードにこもってしまいました。
腑に落ちないまま、カズハは何となくテーブルの端に置いてあった占いに関しての本を手に取り、読み始めました...。
ドン、と、ふいに、出入口の扉を叩く音が聞こえました。
カズハが本から顔を上げると同時に、豪雨を疑うレベルで高速ノックされる扉。
ガチャガチャと回されるドアノブ。
何事かとカズハが鍵を開けると、目を血走らせたゴスロリ女――狭間莉音(はざまりおん)が飛び込んできました。
莉音は、周囲を見渡した後、バックヤードから駆けつけた顔面蒼白の五十嵐の胸倉を掴み、狂ったように捲し立てました。
「マナ先生はどこ!早く出して!」
必死に莉音を宥めながら状況を説明する五十嵐。
しかし冷静さを欠いた莉音は今にも五十嵐に噛みつきそうな勢いで怒りを吠え続けます。
そんな様子を、ここまで静かに見守っていたカズハが、ふっと小さく笑いました。
それを目敏く見つけた莉音は、底に怒りを閉じ込めた声でカズハに言います。
「何笑ってんだ、お前。」
「いえ、面白かったので、つい。」
悪びれもせずに言う姿に、怒りの矛先は完全にカズハに向きました。
2人の後ろで青くなる五十嵐。
「どういう意味?」
「霊能力で復縁をしようというのが、私には信じられないものですから」
度重なるカズハの非礼を顔面蒼白で謝罪する五十嵐を無視して、莉音はカズハに何者かと問います。
鑑定士の1人だと答えるカズハに、莉音は冷ややかに笑って言いました。
――占い師のくせに霊能力を否定するんだ。
話は終わりだと言うように出入口に駆けていく莉音。
再び中に入ってきた彼女は、1人の青年の腕を引いていました。
彼の名前は菅原暖(すがわらはる)。
莉音の、復縁を希望している元カレでした。
「とにかく、マナ先生に一刻も早く来るように言って。折角、忙しい暖くんを捕まえること出来たんだから。」
笑顔で腕に擦り寄る莉音に、暖は戸惑ったように視線をカズハに向けました。
「......復縁ということは、お二人は別れられているんですよね?」
遠慮なく聞かれた質問に、莉音は笑って顛末を話し始めました。
ついこの間まで普通にデートしてたのに、突然もう会えないってLINE寄越してそれっきり。
こっちからLINEしても全然既読がつかない状態。
「忙しいのに来てくれてありがとね、嬉しい」
――マナ先生が来てくれれば、もう大丈夫。
そう言って微笑む莉音とは対照的に、暖の顔はどんどん強ばっていきます。
「本気で信じておられるのですか?そんなもの」
漂いかけた不穏な空気を破ったのは、カズハでした。
治まりかけた莉音の怒りの気配を感じて、五十嵐の顔が再び青ざめます。
「......今、なんて?」
冷ややかに問う莉音に、カズハは構わず続けます。
霊能力で相手の気持ちを帰ることなんて出来ない。
自分で何の努力もせず、そんなものに頼って望みを叶えてもらおうという考えは理解が出来ない。
そんな身勝手な態度じゃ別れを告げられて当然だし、復縁なんて到底実現不可能だ。
「本気で彼との復縁を望むなら、まずはご自身の身の振り方を改められては?」
美波の時のように、相手の様子を顧みずに淡々と続けるカズハを静止し、五十嵐は真っ青な顔で莉音に謝罪を続けます。
そんな五十嵐には無視を決め込み、じっとカズハのことを見上げた莉音はニコリと笑い、名を問いました。
「あなた、お名前は?」
「カズハと申します。」
「そう、覚えておくわ。」
笑顔を消し、完全に据わった目でカズハをひと睨みした莉音は、困惑する暖の手を引き、出入口に向かいます。
去り際、暖はカズハに視線を向けまししたが、すぐにそらして、莉音に続いて『クラウン』を後にしました。
嵐が去り、沈黙が訪れる店内。
五十嵐は、安心と疲労が混じった大きなため息をついて、出入口の鍵を厳重に閉めました。
「マナ先生のような占い師は顧客に変な希望を持たせるだけで全く本人達の為になりませんね」
相も変わらず反省の色が一切見えないカズハを、五十嵐はいつになく厳しい声で叱責します。
狭間莉音は、占いの館『クラウン』の社長令嬢でした。
そんな莉音に失礼のないように、社内で1番信頼が置ける『マナ先生』を担当にしていたのに、そのマナ先生にも飛ばれてしまった上に、カズハが無礼を重ねたせいで、元々大きかったダメージがさらに深刻なものになってしまったからです。
何故もっと柔軟性を持たないのか。
何故あんな態度をとったのか。
先程の発言が社長の耳に入れば間違いなくカズハ自身の首が飛ぶと聞いても、カズハの態度は変わりません。
首が飛んだらそれまでだ、と。
「あなたはそれでいいのですか?」
五十嵐が嘆くように言ったその時、ドアノブを回す音が室内に響き渡りました。
思わず肩を震わせる五十嵐。
続けて、コンコンと控えめなノックが聞こえます。
警戒しながら五十嵐が鍵を開封すると、控えめに中に入ってきたのは、先程帰ったはずの美波でした。
「斎藤様?」
思わず驚きの声を上げるカズハの後ろで、五十嵐は相手が招かれざる客では無かった安堵に胸を撫で下ろしました。
「すみません、さっき、お金払わないで帰っちゃったこと思い出して......」
「そういえば......」
「え、先生も気付かれてなかったんですか?」
「はい、あのようなことはよくありますし、むしろ払いたくないと言われることが多いものですから」
「それって、どうなんですか......」
小さく笑いながら呟いた美波に、カズハは先程の椅子を手で示して 座るよう促しました。
軽く会釈をして椅子に座った美波の向かいに、カズハ自身も腰を下ろします。
五十嵐は、そんな美波に深々と頭を下げて謝罪を口にしました。
「先程は、大変失礼を申しました」
「いえいえ、いいんです、もう」
慌てて手を横に振りながら曖昧に微笑む美波に、カズハは簡易的に料金システムの説明をします。
鑑定料は20分4000円だが、帰るまで5分も満たなかった為、お気持ち程度で結構だ、と。
手馴れた様子で説明するカズハに、思わず美波は普段からこういうことはよくあるのかと尋ねていました。
サラリと肯定するカズハのことを、五十嵐がじとりと睨みます。
「不足分は給与から引かせて頂きますからね」
その2人の様子がおかしくて、思わず美波は小さく吹き出しました。
「おかしいですか?」
「はい、とっても。」
クスクスとひとしきり笑った後に、不意に美波はテーブルの上のカードに視線を向けました。
「あれだけのことを言われたのに、料金を払ってないとお戻りになられるとは......真面目な方ですね、斎藤様は」
「気になっちゃうんです、そういうの。損な性格ですよね」
言いにくそうに瞳を伏せた後、美波は言葉を続けました。
「もう一度来るの嫌だなって思いました。でも、その前に聞きたいと思って。」
「なにか?」
「先生はさっき、あなたの人生に占いなど必要なくなることを願いますと仰ってましたよね」
あれは、どういう意味ですか?
伏せた瞳をカズハに向けながら、美波は控えめに問いかけました。
「占いに来る方の中には、私たちを願いを叶える神様か何かのように頼りきりになり、依存してくる者が多くいます。」
―――そういった占い依存者を撲滅する為に、私は占い師になりました。
困惑する美波に構わず、カズハは続けます。
「ですから、来られるお客様に私はご自身の問題点をはっきり申し上げ、その後はご自分で考えて頂くようにお願いしております。運命は自分で決めるものです。」
淡々と告げられた『答え』に、美波は言葉を選びながらぽつりと自分自身にも言い聞かせるように言いました。
「頼る場所があってもいいんじゃないですか?何かに縋り付きたくなることって、みんなありますよね?」
そんな美波にカズハは言いました。
自分自身が向き合う姿勢がなければ、結局何も変わらない、と。
「じゃぁ教えてください、どうすれば向き合えるようになるのか。」
堪えていたものが爆発するように、美波は胸の内を語り始めました。
自分の何がいけないのかなんて、みんな本当は分かっている。
でも、どうすればいいか分からないから、ここに来るのではないのか。
嘆くように、縋るように訴える美波に、尚もカズハは言い放ちます。
「それはご自身で考えるべきところだと私は思います。」
伝わらないもどかしさに、思わず美波は声を荒らげていました。
「どうしてあなたは、自分を頼って来てくれた人に壁を作っているんですか」
『らしくなく』声を張り上げた自分に我に返り、美波は目を伏せました。
「すみません......確かに、先生が仰っていたことは正しいですよ、私は自分から何も行動しないで待っているだけ。だけど、いい加減自分でもどうにかしなきゃって思って、占いでもなんでも良かったんです。なにか自分を変えるきっかけが掴めたらなって。」
――私は、それを一緒に考えて欲しかったです。
悲しげに笑いながら呟いた美波は、財布から4000円を抜いて、カズハに差し出しました。
「参考になりました。あんなにはっきり言われたの、初めてでしたから。」
差し出された鑑定料を見つめて押し黙るカズハに、友人を待たせているからと軽く一礼して、美波は店を出ていきました。
後ろ姿に再び深々と頭を下げる五十嵐。
カズハは、受け取った鑑定料をキャッシュボックスに入れた後、おもむろにタロットカードの束を取り、テーブルに並べ出しました。
「カズハ先生?」
いつもとどこか違う様子のカズハに、五十嵐が声をかけます。
カードをめくり終えて、占いの結果を黙ったまましばらく見つめていたカズハが口を開きました。
「五十嵐さん」
「はい」
「私は、間違ったことを言っていますか?」
どこか迷うように呟かれたその言葉に、五十嵐は諭すように優しく言いました。
「......カズハ先生、あなたの鑑定に足りないのは顧客の気持ちを想像する力です」
それならカードで読み取れる、と答えたカズハに、五十嵐は尚も優しく続けました。
占いで現れるものより、もっと前の部分の話だ、と。
お客様がどうしてそのような悩みを持ち、どんな葛藤を抱えているのかを想像出来て初めて顧客の力になれるのだ、と。
「......。」
見つめていた1枚のカードをテーブルに伏せたカズハは、五十嵐に言いました。
「1度、やってみます。上手くいくかは分かりませんが。」
(続く)
【後半に続く!】
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