完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。(村上春樹『風の歌を聴け』より)
というわけで皆様こんばんは。キムです。
夏公演もあと一週間です。稽古も残り少なくなっております。団員一同、黒目が白目になる程に追い込まれながら最後の仕上げをしております。
私も先日ついに錯乱状態となり、映画館で『片目で観るから半額にしろ』とスタッフの方に詰め寄った挙句、タコ殴りにされて歌舞伎町に売られてしまいました。今は歌舞伎町の片隅で、マッチを売って生計を立てております。ひと箱¥5,800です。
インタビューも最後だというのに、これではお客様に申し訳ありません。マッチがそんなに高いわけがないのです。
役者インタビュー最終回、この方に締めて頂きましょう。
新米研修医・白幡仁美役を演じる、ゆきのーるさんです!
私はゆきのーるさんを他人に紹介する際は「深田恭子と吉岡里帆と北川景子を足して3で割ることなく854を掛けたような人です」と紹介することにしています。大半の人は、聞いただけでは意味が分からずにバイクを盗んで走り出してしまいますが、ご本人を見れば納得でしょう。というかなんなんだこのウサギの表情。
最後のインタビュー、始めていきましょう。
―すみません、最初に自己紹介をお願いします。
ゆきのーる(以下・ゆ) ゆきのーるでーす。
―お仕事とか年齢とかも…載せていい範囲で構わないので。
ゆ 28歳です。普段は…ヴァーチャルアーティスト。
―ヴァーチャル…アーティスト?
ゆ ちょっと伝わりにくいかな…。アーティストとか歌手とか詩人です。
―まじですか。
ゆ まじです。
(ピアノを弾くゆきのーる姉さん。『ピアノ弾けるんですか?』と聞いたところ『弾けなーい』とのことでした)
―TEAM909を知ったきっかけって何ですか?
ゆ 演劇をやりたいなって思ったときにネットで調べたら、最初に出てきたんです。
―演劇やりたいって思ったきっかけって…。あ、演劇部だったんですよね?
ゆ そうですー。高校時代は演劇部です。役者をやってました。
―高校時代に演劇部に入ろうと思ったきっかけは何かあるんですか?
ゆ 中学時代はバスケ部だったんですけど「運動辛っ!」って思って。体動かすのは嫌いじゃないんですけど。またこんな辛いことをまた高校3年間続けていくのかと思ったら嫌になって、文化部に入ったんです。文化部をいろいろ見学したんですけど、演劇なら表現と体動かすのと両方できるなと思って、よーし、演劇部にしよう! って決めました。
―演劇部ではどんなことをやってたんですか? 例えば演目とか…
ゆ コメディです。
―コメディ?
ゆ ギャグとかですね。だから、シリアスな舞台は一度もやったことがないんです。大会とかもあったんですけど、それもギャグとかコメディの作品で出てました。
―けっこう珍しいですよね。
ゆ もちろん伝えたいこととかはあったんですけど。脚本も演出も音響も照明も自分たちで、先生はほとんど関与してなかったです。それを許してもらってたからできた感じですね。
部内で脚本書いてた人が「笑ってもらえない演劇なんて意味がない」っていう思想の人だったんです。それにけっこうみんな賛同して「楽しんでもらう」「笑ってもらう」ことを一番に考えてやってました。
―賞レースとかでも勝ってました?
ゆ もともと弱小だったんですけど、全道大会まで行くことはできました。
―全道大会っていうと、県大会みたいなやつですね。(※ゆきのーるさんは北海道のご出身です)
ゆ そうです。高校卒業してからはずっと演劇とは無縁の世界で生きてきました。
(重大発表をするゆきのーる姉さん)
(歌の方でも精力的に活動されているそうです)
―今回は高校時代と違ってシリアスな芝居ですが、演じてみてどうですか?
ゆ 新鮮ですね。もちろんコメディでもどういう演技をするかとかは考えるんですけど、今回はストーリーの中で気持ちとか感情が細かく動くのを表現しなきゃいけないし。コメディだとやっぱり起承転結が大事で、激しくやっても許される感じがあったんですけど、繊細なお芝居なので、ものすごく考えながら芝居をしてますね。でも新しい体験だし、自分の成長にはつながりますね。
―今回の芝居は、高校時代の演目とは違って少しシリアスな感じになってると思います。ゆき姉が演じる白幡仁美という人物は、どんな人だと思ってますか?
ゆ 白幡さんは、最初は正義感の塊だって思ったんですよね。明るいだろうし。白幡っていう名前の通り、真っ白な子だって。でも練習していく中で「違うな」って思ったんです。やたら頭が良いんですよ。心の底では、正義が絶対正しいわけじゃないし、正義が狂うこともあるってことをわかってる。けど自分は正しくありたいって、人一倍思ってる子だと思います。
―突っ走るだけでなく、計算してやっている?
ゆ 無意識に計算しちゃってるんだと思います。それくらい頭が良いから、考えないようにしても考えてしまう、みたいな。でもそれも受け入れた上で、自分は正しい道を行くみたいなヒーロービジョンみたいなのがあるんだと思います。
―自分の性格と白幡の性格で、重なってるなと思う部分はありますか?
ゆ 一部重なってます。私も正しい方向のビジョンがあって、そっちに向かいたい気持ちはあるんです。けど白幡とはその度合いが全然違うなと。
―性格的にそういう傾向はあるんですね。
ゆ そうですそうです。悪い方向に行きたくないし、人の役に立ちたいとも思うし。もし自分が医療に携わってたら、患者さんの役に立ちたいって思うし。でも、白幡ほどではない。
―逆に、こういうところは自分にはないなと思う部分はありますか?
ゆ 正面から行くところかなあ。
―正面から?
ゆ 白幡は、おかしいと思ったら正面から言うタイプなんです。相手がどんな立場の人であれ。でも私にはそんな勇気はない。おかしいと思っても正面からは言わないことも多いし。後からこっそり「どうなんですかね…」って飲み会で言うくらい(笑)
―後から言われるほうがちょっと怖いかも(笑)
ゆ そう?(笑) とにかく私には白幡ちゃんほどの勇気はないなぁ。
―今回の芝居の中で、白幡という人物が担う役割は何だと思いますか?
ゆ お客さんに一番理解されやすい立場だと思います。芝居の中で一番中立で色がない立場かな。白だし。すごく普通なんですよ。お客さんが「そこは〇〇だろ」って思ったところに「〇〇だ!」って言う感じ。ある意味教科書的です。理解されやすい存在かな?
―今回の芝居の話とは少し離れますが、これからやってみたい芝居はありますか?
ゆ 個人的にはまたコメディをやってみたいです。やっぱりお客さんに笑ってほしいし。
―好きな作品とかはありますか?
ゆ 『ONE PIECE』はけっこう好きです。あれくらいわかりやすいのが好きですね。みんな前向きで、絶対ポジティブで終わるじゃないですか。でも小説とかだとその限りではないです。読み物だったらモヤッとして終わるのも好きなんですよね。
(飛びたいゆき姉)
―突然で申し訳ないんですが、ゆき姉が愛してるものは何ですか?
ゆ 愛してるもの? 恋人ですかね。後は自分かなあ。自分は好きだし。自己肯定感は自覚するレベルで高いと思います。不安とかもあんまりない。
―うらやましい…
ゆ 大人になるにつれて、そうなってきましたね。愛しているといえば、あとは芸術ですかね。言葉で言い表せないものを言い表そうとする芸術が、やっぱり好きですね。
―最後になりますが、お客さんに一言。
ゆ 今回の芝居を見ると、自分のことが今よりもわかるようになると思います。これから生きていく上での新しい発見を、絶対にお届けできると思うので。劇場から出る時には、自分の中で新しい発見をしてもらえればと思ってます! 絶対来てね!
ゆきのーる姉さんのインタビューをお届けしました。これからTEAM909にゆきのーるあり、と噂になること間違いなしな予感がしています。彼女の芝居を観たい方は、是非劇場に足をお運びください。
私も、このままマッチ棒を売る生活をしていてはいけないと思い立ち、『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』を観て得た知識をもとに、ロシアの奥地へ財宝を探しに行きたいと思っています。というかもう来てるんですが、そこらへんにあった大きな建物に忍び込もうとしたら、縛り上げられて地下室に閉じ込められてしまいました。
両手が使えないので、舌でスマホを使ってこの文章を書いていまして、けっこう疲れてきています(笑)このままだと夏公演に参加できないので、なんとかして脱出しなければいけませんが、さてどうしたらいいものか…。
あ、なんかすげえ屈強な人がでかい包丁持って入ってきた。
それでは読者の皆様、インタビューはこれで最後となります。これまでお付き合い頂き、ありがとうございました! 公演をお楽しみに!!!!!
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