映像作品ログ✩.*˚~vol.2「ONE CARD」<後編>~

 

みなさんこんにちは〜!
TEAM909です。

映像作品のダイジェスト版。
担当は、このカテゴリーではもうお馴染み(だと信じたい)の、あきがお送りします🐧🐧

挨拶もそこそこに、早速『ONE CARD』の後半をご紹介していきたいと思います!

「後半?」となった方は、まずはこちらを読んで頂けるとわかりやすいかもです!⏬

見逃せない展開になってきたこちらの『ONE CARD』!
怒涛の展開目白押しのクライマックスを、どうぞお楽しみください〜〜!!!!




数日後。
占いの館『クラウン』では、五十嵐とカズハがお客様の来店を待っていました。



「カズハ先生、くれぐれも言い方にはご注意願いますよ」

念を押すように五十嵐が言うと同時に、コンコン、と扉がノックされます。
それを合図に、バックヤードに去る五十嵐。
開いた扉から控えめに入ってきたのは、先日カズハの鑑定を巡って一悶着あった顧客の美波と、付き添いの伊織でした。

「そっちから呼び出すなんて、どういうつもり?」

怪訝そうな目を隠すことなくきつく言い放つ伊織に、カズハは答えました。
前回、鑑定料に見合う鑑定をしていなかったと思い、今日ここにお呼びしたのだ、と。
思わず顔が強ばる美波に、伊織がフォローをするように軽口を叩きます。

「お詫びに、結婚運が上がる時期でも教えてくれるっていうの?」
「いえ、改めて斎藤様のお悩みを伺えればと思います。」

前回との変わりように、思わず顔を見合わせる2人。

相手がいないのに結婚の話をするのは順番が違うのでは無かったか、と苦笑いを零しながら皮肉を言った伊織に、カズハはその考えは変わらない、と答えた上で、自身の考えを告げた。

「しかし、人の心はとても複雑です。」
例えば、結婚を望んでいながら、心の奥底では結婚を拒否している、など。
その場合、無意識の内に上手くいかなくなるような行動をとってしまうことがあるのだ、と。

ひとしきり伝え切ると、カズハはまっすぐと美波を見つめました。

「あなたの本当の悩みを、私は知りたいのです。」
―――貴方が自分自身と向き合えるよう、私も一緒に考えさせてください。
 
核心を突かれたような言葉に、思わず美波はカズハを見つめ返しました。

「また失礼なこと言ったら、許さないからね」

牽制のように厳しい声で言った伊織に、カズハは深々と頭を下げ、目を閉じてカードに触れました。


その時。

「カズハ先生いらっしゃいますか?!」

突然扉が勢い良く開き、ただならぬ雰囲気の暖が駆け込んで来ました。

「私はここにいますが......」

驚きと困惑が入り交じった店内で、カズハは訝しげに暖に答えます。

「あっ......良かった...。」
「......良かったというのは?」
「どうかしましたか?!」

只事ではない暖の様子に思わず問い掛けたカズハの声に、バックヤードから出てきた五十嵐の声が重なりました。


先日の騒動の当事者の1人である暖を認識し、五十嵐の顔が強ばります。
暖はそれを気にする余裕もない程に激しく息を切らしたまま、思い詰めた様子で言いました。

「あの...彼女がっ...莉音ちゃんが......!」

暖は、続けて頭を下げました。
「お願いです、莉音ちゃんの目を覚ましてあげてください!あんなにハッキリ言ってくれる人、先生が初めてだったから――」
思い詰めた暖の様子に、カズハは困惑の表情を浮かべました。

「ねぇ、ちょっと待って、誰?その話、今じゃなきゃ駄目?」
伊織の困惑と怒りが混ざった強い声に、暖は我に返り、ごめんなさい、と小さく謝罪を口にしました。

カズハは伊織に、込み入った話であることを謝罪し、暖に美波の鑑定の後に話を聞く旨を伝えます。
納得した暖を、五十嵐が出入口に促したと同時に、ガチャ、とその扉は開きました。


「暖くん。余計なことしないの。」

そう言って中に入ってきたのは、先日の騒動の元凶である莉音でした。
途端に青ざめる暖と五十嵐。

「なんで、ここに?」

震える声で問いかけられた質問に、莉音は笑ってスマホを取り出し、見せ付けるようにヒラヒラと揺らしました。

「どこにいても分かるよ〜」

何かを察した暖が急いで自身のスマホを確認すると、知らぬ間にGPS検索アプリがインストールされていました。
戦慄して固まる暖。

「なに?なんの話?なんかやばいことになってる」

目の前で繰り広げられる修羅場に、美波と身を寄せ合いながら、伊織は動揺を隠しきれない様子で言いました。
不安げな様子で見つめる美波に、カズハは落ち着いた様子で少しこのままお待ち頂けますか、と囁きました。

そして、五十嵐の静止を受け流し、緊迫した雰囲気で見つめ合う暖と莉音の元へ歩みを進めます。
それに気づいた莉音が、カズハに視線を向けて言いました。

「こんにちは。先日は散々言いたいこと言ってくれたわね。」
「その節は、大変失礼を申しました」
「何それ、白々しい。嫌味にしか聞こえないんだけど。」

吐き捨てるように言った莉音は、一転、なんでもない事のように呟きました。

「まぁいいや。もうすぐあんたには、二度と会うことも無くなるし」

不穏な発言に五十嵐がどういうことかを問いかけると、莉音はカズハのクビが約束された事実を告げました。
だからこそ、暖が焦って行動に起こすことも分かっていた、と楽しいそうに告げる莉音に、暖は思い詰めた様子で掌を握ります。

クビだけは勘弁を、と懇願する五十嵐をよそに、当のカズハから出た言葉は、意外なものでした。

「構いません。」

一同の視線が、カズハに集まります。

困惑に包まれる店内。
クビを宣告した莉音でさえも困惑の色を隠せません。
自分を止めようとする五十嵐の声を遮るようにして、カズハはいいました。

「ですが、1つ心残りがございます。  」
―――狭間様のお悩みを、解決出来ていないことです。

「彼との復縁をご希望でしたね。その件について、私に占わせて頂けませんでしょうか?」

自分を真っ直ぐ見据えて迷いなく言うカズハに、莉音は思わず動揺します。

「なんなの急に。この前あれだけ否定した癖に。」

カズハは、霊能力で強制復縁は不可能だという考えは変わらないことを述べた上で、暖と莉音の問題をこのままにしてしまうのは占い師として心苦しいと主張しました。
訳が分からず置いてけぼりを食らっている美波と伊織に謝罪をして、カズハはテーブルの上のタロットカードの束を手にしました。

「タロットは指でカードを引くことにより、潜在意識にあるメッセージを読み取る占術です。意識出来ている部分では気づいていない、自分の内側にある本音を表面化することが出来る。」

言いながら、カードを扇状に広げ、莉音と暖の前に差し出しました。 

「お二人の本当の望みを、私に教えて頂けませんか」 

それに対して、気まずげに目をそらす暖と、自分の気持ちは自分が1番分かっていると鼻で笑う莉音。
何が2人にとって最良の道なのかを考えたい、とした上で、カズハは莉音に向き直り、言いました。

「彼と一緒にいることがあなたの本当の幸せなのでしょうか?それとも、あなた自身がそう思い込んでるだけかもしれない。」
「思い込みって何?本心に決まってるでしょ。あたしは暖くんといられればそれでいいの!」

含みのある言い方に苛立ちながら、莉音は乱暴にカードを1枚引きました。

「ならばきっと、カードにもそのように現れているはずですね。」 

煽るように言ったカズハは、今度は暖に向き直りました。

「どうそ、お引き願います。」

暖は、カードに手を伸ばしますが、なかなか迷いが捨てられません。

「あの...ひとついいですか」
伺うようにカズハを見つめて、暖は言いました。

「僕の本音を知って先生は、どうするつもりなんですか?」
「言ったでしょう、お互いにとって1番良い道を提案させて頂くのですよ」
「1番、良い道......」

口の中で反芻させながら迷う暖に、一部始終を見守らざるを得なかった伊織が、痺れを切らしたように言います。

「ねぇあんた、迷ってないでさっさと引きなさいよ!」
「伊織、やめて。」
先客である美波と伊織の様子に、暖は意を決したようにカードに手を伸ばし、1枚のカードに触れます。

しかし、彼がそのカードを引き抜くことはありませんでした。

「......すみません、選べないです。」

言葉と共に力なく腕を下げた暖の姿に、莉音は言葉を失います。

「何故ですか?」
「えっと...」
問いかけるカズハに答えようと口を開いた暖は、莉音を一瞥した後、気まずそうに押し黙ってしまいます。

「なんで引けないの、あたしと向き合う気ないの?ちゃんとあたしのこと見てよ!」

冷静さを欠いた莉音は、暖の元に走り、肩に縋りついて叫びます。
暖は、そんな莉音から目を伏せて口を噤みました。

「ほら、そうやってあたしのこと見ようとしないでしょ。見てくれようとしたことある?可哀想なやつだから、仕方なく一緒にいてやろうって思ってただけ?」
「そんなこと――」
「じゃぁなんでいつも目を逸らすの?!」
半狂乱のなりながら暖の肩を揺すぶる莉音を、五十嵐が宥めるようにして引き剥がしました。

「分かる?私がどれだけ不安だったか。一緒にいた間、好きとも嫌いとも言ってこなかったよね。そういう曖昧な態度がずっと腹立たしかったんだから!」
「嫌って言ったら、莉音ちゃんその通りにしてくれた?」

肩で息をしながら捲し立てる莉音を遮ったのは、暖の声でした。

「僕が何を言ったって、聞いてくれたことなんかなかったじゃん。」
呆気に取られる莉音を前に、疲れ切ったように笑った暖は、ため息混じりに言いました。

「ごめん、もう本当に限界。はっきり言わない僕も悪かったと思うけど......莉音ちゃんこそ、いつも自分のことばかりで僕の気持ちなんて分かろうとしなかった」 
「暖くん」
「もうやめて、迷惑だから。」 

呆然と立ち尽くす莉音を置いて、暖は出入口に向かいました。

「...すみません、お騒がせしてしまって。ありがとうございました。」 

巻き込んでしまった人々に暖は頭を下げて、クラウンを去ろうとしました。

その時。

「迷惑?」

抜け殻のように固まっていた莉音が、小さく呟きました。
立ち止まり、莉音を見る暖。

「迷惑って言った?」

壊れた人形のように繰り返す莉音の様子に、五十嵐が宥めるように近づいた瞬間、莉音は鞄の中からむき出しのナイフを取り出して、狂ったように暴れだしました。

美波と伊織から悲鳴が上がります。

「待って、待って下さい!落ち着いて!」
五十嵐の必死な静止も、最早莉音には届いておらず、声にならない声を喚きながらナイフを振り回します。

1歩間違えれば死人が出るかもしれない、という並々ならぬ緊張感が漂う中、莉音はぽつりぽつりと、壊れたように言葉をつむぎ出します。


「ずっとそう思ってたの?あたしと一緒にいる間、ずっと迷惑だなって思いながら過ごしてたの?」
覚束無い足取りでジリジリと自分に向かってくる莉音に、暖は思わず後ずさります。

「あたし、こんなに暖くんのこと好きなのに。こんなに暖くんのこと必要してるのに、でもそう思ってたのは、あたしだけだったったこと?」
嘘だよね、と狂ったように繰り返しながら近づく莉音。
とうとう壁際まで追い詰められた暖の首元に、ナイフが突き立てられました。

「私達まだ一緒に居られるよね?
暖くんじゃなきゃ駄目なんだよ!」

「本当にそうですか?」

壊れたように、泣きながら訴える莉音の声を遮ったのは、今度はカズハの声でした。
一同の視線を集めたカズハは、そのまま莉音に歩み寄ります。
そした、騒動の途中に落とした莉音のカードを手に取り、目の前にかざしました。

「貴方が先程引いたものです。これを見る限り、関係を終わりにしたがっているのは、あなたも同じではないかと思います。」
――物事の終わりと再出発を望むカードです。もうご自身で十分、分かってらっしゃるんでしょう。彼に執着すればするほど辛くなることを。

目の前にかざされたカードに、莉音の表情が硬くなります。
カズハは、そんな莉音の目の前に、もう1枚カードを差し出しました。

「これは先程彼が触れたものです。ここに彼の本当の気持ちが隠されていますよ、見てみますか?」

聞きたくないと錯乱しながらナイフを向けても、カズハは喋る口を止めません。
そして、残酷にも、暖が復縁を望んでいないという事実を告げるのです。

呆然としながら、手に持っていたナイフを落とす莉音。

「終わりって何よ.....私は暖くんがこっちを見てくれればそれでいいのに。終わりになんてしたくない。ねぇ、終わりなんて嫌、!!」

込み上げてくる感情を抑えきれずに泣きながらすがりつく莉音に、暖は迷ったように視線を彷徨わせた後、自分を掴む莉音の手を解き、真っ直ぐ見つめて言いました。

「ごめん......僕はもう、莉音ちゃんを見ることは出来ないよ。」
なんでよ...と力なく呟く莉音に、カズハは声をかけて、言いました。

「もし貴方がご自分と向き合う決意を固められるのなら、その時は、もっと未来の話をさせて下さい。」

しばしの沈黙の後、カズハのことを見ることなくバックを掴み、無言で去ろうとする莉音。

「あ、あの...」
不意に美波からかけられた声に、莉音は立ち止まり、声の主へと視線を向けます。  

「...いえ、すみません。なんでもないです。」

何かを言い淀んだ美波から目を逸らし、誰とも目を合わせないまま、莉音は『クラウン』を後にしました。


「助かったぁ.....なんだったのよ一体...。」
長い緊張感から解放されて、伊織が安堵の溜息を漏らします。 

「すみません、巻き込んでしまって」
脱力して床にへたり込んだ暖が、申し訳なさそうにいいました。
「まったくだわ。だいたいあんた、こんなことになる前にもっと強く言いなさいよ!」
「本当にすみません...僕がこんなだから、彼女を依存させてしまうことになったんですよね。でも、きっと本当は彼女も分かってるんだと思います。」

カズハに手を貸されて立ち上がった暖は、深々と頭を下げていいました。

「ご迷惑をお掛けしました。ありがとうございます。」

五十嵐と、軽くやり取りをして謝罪を重ねた暖は、もう一度カズハに向き直っていいました。

「あの、また何かあったら来てもいいですか?」
「えぇ、どうぞ」

改めて礼を言った暖は、一同に深々と頭を下げてクラウンを後にしました。

🌼.*

「お待たせ致しました、斎藤様。」

五十嵐が莉音のナイフを回収し、バックヤードに去った後、カズハは美波に声をかけました。
再び促されて、席に座る2人。

こんなことがあった後でよく占えるな、と呟いた伊織の言葉に仕事ですから、と返したカズハは、ふいに出入口を見つめる美波に気づきました。

「どうかなさいましたか?」
「いえ、いい人に出会えるといいなと思って、彼女」
美波はどこか遠くを見るように呟いた後、カズハに向き直り、心配そうに見つけめました。

「あの、私の事占ってて大丈夫ですか?」
クビがどうのって....。

美波の優しさに、思わずほんの少しだけ頬を緩めながら、カズハは今はこの鑑定が最優先だと言い切り、カードの束に手を載せます。



「では、始めましょう。」

(終)



結構なボリュームになってしまったので、推しポイントはコンパクトに行きますね!

【あき的『ワンカ』推しポイント】

○経験に基づいた占いとの付き合い方
→それについての詳細は、いちかさんが前に書いて下さっています。

⏫この記事だよ〜!

ちなみに占い、私も好きです。
私自身、悩みをこじらせるとどうしよう...となっちゃうタイプなので、縋るものとして占いを選ぶ気持ちも理解できます。
1歩道を間違えると、莉音ちゃんみたいになっちゃう可能性アリってことですね。
だから敢えて、良いことしか信じないようにしてます( ´ω` )/

この『ワンカ』の中で1番好きなセリフが、前編の方にちょっと出てくる美波ちゃんの台詞です。
カズハ先生と美波ちゃんが少し言い合いになるシーンの台詞が全体的に共感できて、毎回シーン練の時に『わかるー!』ってなってた記憶があります。

占いは、付き合い方を考えれば、生活を豊かにしてくれるものですよね。
私は今後も、良いことだけを信じながら、いざと言う時の『お守り』として占いと付き合って行こうとおもいます。



🌼.*

はい。
如何だったでしょうか。

私個人としては、ボブさんが描く脚本とはまた違っていて、演じていてとても楽しかったです。
また、ちょうどこの頃に新メンバーがまとめて入ってくれた事もあり、そういう意味でも色々と思い出深い時期であり、印象深い作品でもあります。


撮りたてホヤホヤのお疲れ様モード全開な1枚。
そう言えばこの公園のジャングルジムみたいなやつでけいごくんが休憩時間にぐるぐる回ってた記憶があるんだけど、思い違いかな。
まぁいいか。(どうでも)
 

様々なめでたい理由で旅立ったメンバーもいますが、離れててもみんなの健闘と健康を祈ってるよ〜〜!!

ここまで読んでくれたあなたに最大級の感謝を〜!

以上! 
TEAM909のあきがお送りしました〜🐧


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